痛みの共有

2011年9月12日 月曜日

ここのところ、少し頚を痛めている青木です。
頚の痛みはわたしの専門の分野なのですが、自分の治療はなかなか自分ではできません。

わたしのような頚から肩甲骨にかけて痛みのある場合、頚に注射をしたいのですが、なかなか自分でするのは難しいものです。それで薬を飲んでカラー(頚に巻くコルセットです)をして安静にする日々です。先日の宮田さんのコンサートにカラーをして行きました。
たった1分でいいから、もう一人自分が居たらどんなにいいだろう。そうしたら神経ブロック注射ができるのになぁ、と思いつつ。

けれども、わたしは自分に時々訪れるこうした痛みは、「天からの贈り物」だと思っています。
わたしの仕事は、痛みのある患者さんの声をよくお聴きして、なるべく寄り添うことです。
必要があれば注射もしますが、何よりもお話をお聴きして、痛みやその痛みの背景を教えていただきます。
お仕事は? ご家族は? 趣味は? 好物は? そんなお話を伺っているうちに、その方の「痛みの背景」が浮かび上がってきます。

わたしは元々、20歳の時から片頭痛持ちで時おり大頭痛発作が来ます。それ以外にも頚部の痛み、腰痛、膝の痛み、手の腱鞘炎、と、多彩な痛みを持っています。
そこで患者さんの「痛みの背景」を知るために、これらの自分の痛みがとても参考になります。
おそらく自分に痛みが無かったら、わたしはこの科をやっていなかったことでしょう。
ですので、痛い患者さんの気持ちを忘れないように、時おり「天からの贈り物」が届くのだと思います。

さて、そう考えてみると、うちの患者さんたちが「ぞうに落ちる」という現象に巻き込まれたのも
ストンと府に落ちるような気がします。
被災された方々のいろいろな痛みに、痛みのあるうちの患者さんが共感されたのではないか、と。
もちろん、東京のクリニックでは、被災地で何が起こっているのかなど100%分かろうはずもありません。
けれども、少なくともまけないぞうを応援する事で少しでも被災者の方々の「痛み」に寄り添うことができるのではないか……。

そうです。やっぱり、まけないぞうは、すごいです。


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