皆既月食の晩に

2011年12月11日 日曜日

2万人近くの方が亡くなったり行方不明になった震災から、今日で9ヶ月になりました。
福島県からの県外へ避難されている方々は、6万人を超え47都道府県すべてに渡ります。
日にちで区切るのは好きではありませんが、震災のあった2011年の師走も半ばになりました。
そうしてmakenaizoneも、結成から7ヶ月を迎えました。

個人的なことで恐縮ですが、震災後にmakenaizoneが始まって以降、わたしはそれまであまり興味の無かったTwitterやfacebookを本格的に始めました。

それは8月の「雅楽の夕に、」のほんの数日前のことでした。甥の龍から突然に電話がかかって来ました。
龍は浪人生なのですが、災害のことについて質問があるらしく、早速その晩クリニックにやってきました。弟の息子なのですが両親が離婚して以来、龍と会うのはとても久しぶりのことでした。

会って話しを聞いて驚いたことに、龍はTwitterでわたしのことを春からずっとフォローしているというのです。
Twitterは一度に140文字書き込むことのできるブログで、伝言版のようなものです。ただ、その140文字のつぶやきは注意していないと、すぐに流れて消えてしまいます。
龍は震災後、沢山のつぶやきの中から偶然わたしを見つけたのだそうです。龍はわたしのつぶやきを見て、その晩会いにやってきたのでした。

ひと昔前ならば考えられないような偶然の出会いによって、龍と新たな繋がりができたことに驚くとともに、それは何かの縁だと思ったので、その週末の仙台に彼を一緒に連れていきました。
被災地の仙台で、見ず知らずの大人たちとの触れ合い。浪人生の龍にとっては、不思議な2日間だったに違いありません。
その後も、秋の宮田まゆみさんの国立劇場での公演に招待して頂いたり、Twitterでお互いに近況報告をし合っていました。

12月10日、何気なくTwitterを眺めていると、皆既月食の始まりを告げるつぶやきが全国から寄せられていました。
その中でひときわ美しい写真を送ってきたのが龍でした。何でも望遠鏡を引っ張り出して写真を撮っているとのこと。我が家のベランダからは見えない方向に月があったので、龍のTwitterの写真を追いかけて月食を観察していました。

間もなく皆既月食という時間に、外に出て赤い月を見上げた後、部屋に戻ってTwitterを見ると「月を見る余裕なし」という人々のつぶやきが沢山流れていました。
本当にその通りだと思いました。全国的に快晴の晩でしたが、皆既月食を見る心境にない方々がどれほど多く居られることか。
この寒空に、何十万人の方々がたった今、悲しみの淵に居られる。終わらない災害の只中に居られる。
今日の今夜の月など見る余裕が無い方々が、きっと日本中に大勢居られるに違いない。
そんな方々にわたしたちはどうすれば、もっとより添ってゆけるのだろう……そんな当たり前のことを、改めてかみしめる皆既月食の夜です。
撮影:青木龍


ページトップへ Top of page