2013.6.13 〜復興庁のTwitter事件

2013年6月13日 木曜日

今日は復興庁の水野参事官のTwitterでの「暴言」問題が、各メディアを賑わしていた。

そもそも、昨年6月に「原発事故子ども・被災者支援法」が制定されたにもかかわらず、これが殆ど何も履行されていない、というか単なる理念法になってしまっていて、いまもって全く機能していない。

このことに少なくとも私たちは危機感をもっており、どうすれば支援法をすべからく運用できるのだろうか、ということでわたしの属する関西学院大学災害復興制度研究所は、saflan(福島の子どもを守る法律家ネットワーク)やJCN(東日本大震災支援全国ネットワーク)のメンバーとともに、対策研究会を重ねてきた。

確かに、今回問題になった参事官のTwitterでのコメントは品性を欠き、目を覆うばかりなのだが、私たちのように支援法を動かそうとしてきた側から彼の言動を追ってみると、たいへん「分かり易い」足跡が残されていることに気づくのだ。

年末の政権交代を挟んで、支援法の灯火は急激に小さくなっていった。殊に、3月15日に
「原子力災害による被災者支援施策パッケージ〜子どもをはじめとする自主避難者等の支援の拡充に向けて〜」が発表されたあたりから、風前の灯火となっていった支援法。
根本復興大臣は「支援法の目的・趣旨を読み込んで、具体的な施策を取りまとめたものがこの施策パッケージである。支援法による必要な施策については、ここに盛り込んだ」という記者会見を行ったんだけれども……。

具体的な目に見えるパッケージの内容は、浜通りや中通りから母子避難をしている家族の高速無料化、借り上げ住宅の26年までの延長といったことだった。もちろん、無いよりはマシな対策ではある。高速道路代金は二重生活の若い世帯にとって、たいへんに重い経済的負担だからだ。

 
つまり実質、この後どんどん衰退の一途を辿っていった支援法への霞ヶ関の動きというか「温度」を、この参事官は如実にTweetしていた訳なのだ。
ま、この参事官は更迭されやがて表舞台から居なくなるだろうが、そういう品性に欠けた発言をした個人が云々という話のレベルで今回のニュースをひも解くのは、全く論点が違っている。
いま論ずるべきは、復興庁の被災者に対する姿勢なのだから。

「法律とは最も弱い立場にたって作られ用いられるべきものである」……ということを考える時、私たちの国では、たった今、原発被災者に対して十分なる法律が全く何も動いていないという厳然たる現実がある。
そうして、今後とも支援法を強力に進めるつもりはないという合意を政府関係者が、今年の3月8日にしたのだということが、この参事官のTweetによってしっかりとウラが取れたということだ。

この参事官、私たちがウクライナに行った直前に彼もウクライナに行っていたことを、彼のTweetで知った。かの地で、いったい何を見てきたのだろう。で、どんな報告書を書いたのだろうか。今夜はずしりと胃の腑が重い。 
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