台風15号の爪痕

2011年9月26日 月曜日

先週、台風15号が日本列島を縦断しました。
東日本大震災の被災地も大きな被害を受けました。

しかし、この台風、首都を直撃したせいか、今回はあまり東北の被害について大きなメディアが報道していません。
けれどもかなり広範囲の震災の被災地で、大雨による被害が出ています。
ある人は今回の台風で、「これまでの復旧作業が振り出しに戻ったようだ」とTwitterで嘆いておられました。

わたしは災害というものは、我が身に降り掛かってこなければ分からないものだ、という言い方は好きではありません。
それは、病が我が身に降り掛かってこないと、分からないといのと、とても似ているからです。

四半世紀以上、臨床医をしていますと、いろいろな患者さんのいろいろな人生の場面に、立ち会って参りました。
病であれ災害であれ、その渦中に居られる方に対しては、周囲は最善の方策を練りつつ、一方で最悪のシナリオに備えよう、というのが臨床医を生業としているわたしの非常時&災害時への対応の鉄則です。
その渦中の外側に居られる方は、どうか持っている想像力の限りを尽くして、自分に何ができるのかということを、週に2時間程は考えてほしいと思っています。
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その時に、自分ならどうなっているだろうか。直後はどうか、3時間後はどうか、12時間後はどうか、一日後はどうか、一週間後はどうか、四週間後はどうか、3ヶ月後はどうか、そうして6ヶ月後はどうしているのだろうか。

こう簡単にスラスラと書き出しましたが、今回の震災では、仮設住宅やみなし仮設に入居するために、最大5〜6カ所の寝場所を移動された方々もとても沢山いらっしゃいます。そうしてようやく、5ヶ月経って仮設住宅に入り、ようやく人間らしい生活がスタートしたとたんに、台風で床上浸水になったとしたら、どうでしょうか。これほどまでに、神様が意地悪をするなどとは言葉が見つかりません。
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釜石などでは、仕方なく、被災された方々がまた避難所に戻られたという記事を読みました。
これ以上のご負担をかければ計り知れないストレスで、心身のバランスが完全に崩れてしまいます。
どうか、泥出しなどは、重機の使えるプロに県などが依頼して、大掛かりの泥の掻き出しなどをやってくれることを願ってやみません。
重機が使えないというボランティアの限界が、幾重にも被災された方々のストレスを、また善意のボランティアの方々のストレスを大きくしてゆきます。

それと、どうか台風で仮設を追われた方々を、避難所・公民館から、近郊の旅館などに移すことを実行して欲しいと思います。
災害は、自分なら何が必要になるのかどうすれば、人間らしい生活ができるのかを、どうぞどうぞ   I m a g i n e してみて欲しいと思っています。

情けは人の為ならず……東海・東南海・南海地方のみなさま。本当に、情けは人の為ではございません。どうぞ覚悟をして、ご一緒に考えてゆきませんか?


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