2014.10.20

2014年10月20日 月曜日

18日から全国保険医団体連合会の公害視察会で、愛媛県の伊方原発を見に行ってきた。
18日夜は「伊方原発を止める会」の事務局長・草薙順一弁護士を講師に、伊方原発の問題点を聞いた。
松山の道後温泉に一泊し、19日は早起きして秋晴れの伊方へ。車中、止める会の和田氏が案内してくださる。
市内から国道378号線を往く道は、穏やかな海沿いの道の景色がすばらしい。
肱川という河川が瀬戸内海に注ぐ河口では、山からの冷たい水が暖かい瀬戸内海に注ぐ「肱川あらし」という神秘的な霧に出会うこともできた。

松山市からバスで2時間弱、佐田岬半島は山が海に迫る風光明美な場所だった。肱川を越えてから幾つかの穏やかな入江を越えてゆくと、山裾の入江に伊方原発の白い建屋が見えてくる。

もしも東京近郊にこんな場所があったら、観光客で大いにぎわうだろう。
行き先々で、みかんが生り柿が生り、空は何処までも高く……。
しかし、そこは過疎の漁業と農業の町々の現実がある。産業らしい産業はない、人口もどんどん減ってゆく一方だ。

伊方町に着くと佐田岬の東西から伊方原発を視察。佐田岬半島には対面交通の道しかなく、事故の時にはどうなるのだろうかと想像ができぬほどだ。
この辺りは、地崩れも多く、ひとたび南海トラフ地震がくれば、豊後水道や瀬戸内海へと津波が渦巻くこととなる。

原発を見学後、「止める会」のメンバーで伊方町で初めての原告になった長生氏の言葉に、思わず胸が締め付けられる。「地元で声を上げるのはどんなに大変なことなのか。でも福島原発の事故で我が身に置き換えて考えるようになった。自分の子どもの事を考えて、反対をしてゆかなくては」と。

この国では原発は迷惑施設なのだ。過疎の産業の無い地に作られる。それにしても、原発のある場所の中でも、伊方原発のロケーションの良さには驚いた。
しかし、この地は半径60km圏内に松山市・大分市・別府市・岩国市も入ってしまい、中央構造線上に位置し、プルサーマルの3号機を持つ。

いま伊方原発には使用済み燃料棒が1436本ある。この行く先も決まらないまま南海トラフ地震がくればどうなるのだろうか。
福島第一原発の事故が教えてくれたのは、燃料プールに貯蔵することの怖さと、プルサーマルの怖さではなかったか。

とにもかくにも、私たちの国では、原子力発電というもののリスクをこれ以上引き受ける訳にはいかないのだ。

だから出来る限り、広く議論をして、この最も大きなリスクである原発の行方を、しっかり考えようではないか。

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蚯蚓鳴くとって付けたる免震棟
「関鯵」も肉付きの佳し伊方沖
伊方の路「肱川あらし」吹きにけり

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