2014.2.25

2014年2月15日 土曜日

東京の図書館で「アンネの日記」が破られる事件が多発した。

「本を破る」という野蛮な行為に加え、「アンネの日記」だけが300冊も狙い撃ちになった。

この本の歴史的な背景を、世界史を、ユダヤ教のことを、キリスト教のことを、あの戦争のことを、否この3000年間の差別の歴史とその不幸な結果を、戦後の世界のあり方を、どれほどまでに知って、何を思って本を破いたのだろうか。

歴史を知らぬ者は、必死になって学まねばならないし、その報いを受けなければならないのだ。なぜなら、私たちはこの地球の一員であるからだ。身の毛がよだつ事件だった。

ウクライナで市民が流血しながらも、ヤヌコビッチ政権を倒した。

昨年5月、日弁連の人権擁護委員会の視察団のメンバーと、あの独立広場まで延々と歩いて地下鉄に乗った、風薫る長閑なキエフを思い出す。

1932年の大飢饉ポロドモールはスターリンの仕業だと知って、貧しいけれどもロシアと一線を画してきた誇り高きウクライナの、そのまた気骨のある人々が、この度立ち上がったのだ。それを祝わずして何を祝おうか。

けれども、チェルノブイリ原発の町から避難して来たあの親切な人々や、家に招いて話をしてくれた牧師さん一家のあの子ども達や、無口で小柄な通訳さんたちは、みんな元気で居るだろうか。

 

今日は朝、福島第一原発の4号機の燃料プールの電源が落ちた。数時間して回復はしたものの、背中を冷や汗が流れ落ちる思いがした。

そうしてエネルギー基本計画が発表された午後。

性懲りも無く原発を「ベースロード電源」にするという。

「アンネの日記」が破られたり、ウクライナでヤヌコビッチ政権が崩壊したり、4号機の燃料プールの心配をしなくてはならなかったり、またもやベースロード電源とかいう話になったり、それはしかし、歴史の中では同じ色の糸で繋がった話なのだ。紛うことなく3000年前からずっと同じ色の糸を紡いで今に至るのだ。

もう止めにしようではないか。流血の血の色に染まった糸を紡ぐ歴史を、やめようではないか・・・と言いつつ、虚しくなる夜だ。

写真はキエフの独立広場


ページトップへ Top of page