2014.1.20

2014年1月20日 月曜日

これから書くことは、今まで、自分でもどうするべきなのか、考えに考え抜いて、友人たちと討論を重ねた結果に、もう一度、自分なりの考察を加えたものだ。

 

 

まず、脱原発候補の一本化について

 

20日午後時点で、宇都宮氏の政策は、パーフェクトなものが出ている。それに比べ、細川—小泉陣営は即時原発停止以外、全く白紙の状態だ。これは一緒になりようがない。両者の志のベクトルは同じようでいて、全く違うのだ。

 

宇都宮氏の5つの政策の第一番目は「世界一働きやすく、くらしやすい希望のまちを東京」をつくる、とある。福祉政策・労働政策に配慮した街を作ろうというのだ。東京都ならではの高齢独居の方々への配慮が行き届いているし若者の貧困にももちろん配慮したものだ。税収が充分にある東京では政府からの交付金無しで、これらの政策が自由に打てるのが東京の強みである。そういう意味で、宇都宮氏は国レベルでは後退し続けている「ナショナルミニマム」をより東京に則した「トウキョウミニマム」へと導いてくれることだろう。

また、五輪より前にバリアフリーな東京に、というのはとても実情に則したものだ。外交も東京—ソウル—北京の3都市長会談をやるなんて、最高のアイデアである。

唯一、わたしが不満なのは、原発政策が3番目に来ていることぐらいだろうか。

それ以外には、何ら欠点はない。ひじょうに優れた公約だと思う。

第一、選挙対策本部の副部長は、海渡雄一弁護士である。海渡さんは昨年ウクライナに一緒に行った仲間なのだ。海渡氏の災害対策・原発対策には非の打ち所がない。

 

一方、細川—小泉陣営はどうだろうか。

「原発即時廃止」ということ以外、何ら分からない。

他の政策が全く不明だし、細川さんは言われているように直ぐに放り出してしまうお殿様だろう。しかも年齢もいっている。健康面やバイタリティーは宇都宮さんに分があるのではないだろうか。第一、何で小泉さんが直接出ないのか。

小泉さんの本当の「真意」というものは、一体全体何処に有るのだろうか?

都政に脱原発なんか持って来て、どうかしている、という人もいるだろう。そんな事よりも、景気対策や福祉政策や諸々のことの方がよっぽど大切だ!、と。

 

いや、ちょっと待って欲しい。

 

小泉さんが得意のシングルイシューで選挙を戦おうとしていることに、わたしは内心、「天の配剤」だ、と思っている一人なのだ。

 

恐らく二人の総理経験者は、福島原発の事故を見て、内心これは大変なことになってしまった、と誰よりも思っているに違いない。あれだけの事故が起きたのだから日本の原発は、きっと民主党政権に因って止まると思っていたに違いない。しかし、そうはならなかった。意外にも民主党政権は、この事故に対して、ちゃっちい幕引きを図ってしまった。

そこで二人は危機感を募らせた。このまま浜岡原発が動いていれば、日本に未来はない。文字通り、この国の歴史は終わってしまう。

細川—小泉に共通している概念や政策は、唯一、ここだけだろう。細かい事なんか決まっちゃいない。

 

そんな候補が出て来て、本当に良いのだろうか?

 

答えは、良いのである!

正に天の配剤なのだ。この二人は十分に魅力的な候補であり、実情に即した最良の候補だと、わたしは思うのだ。それではその理由を述べよう。

 

まず、二人の見解、原発即時廃止は決して揺るぎようがない・・・「脱原発を直ちにしなければ、殊に浜岡原発の燃料棒を即刻、全て他に移さなければ、東海地震と同時に東京は21世紀のポンペイになってしまう」

 

この二人は恐らく、心からそう思っているに違いない。今のまま東海地震が起これば、近代国家としての日本は終焉を迎えるだろう、という認識がぴったりと一致しているはずだ。

そこで、小泉さんは原発即時廃止に向けて、その道を探りながら見識を深めてきた。

「原発を止めないと日本は終わってしまう」とだけ叫んでいても、納得しない層が沢山居ることを知っているからだ。311前までは、自分もそっち側に居たのだからよく分かっているはずなのだ。

「そういう輩の矢面には自分が立つから、あなたが都知事をやってくれ」と言って、細川氏を口説いたのだろう。それで、細川氏は小泉の覚悟のほどを知って、この暴れ馬に乗ったのではないのか。

 

結論から言って、東京で原発即時廃止を叫ぶ。しかも元首相が二人三脚で立つ。

これは、国内的にも国際的にも非常に大きな反響を呼ぶ事だろう。

浜岡が今のままでは、東京がポンペイになってしまうことは、日本人よりも外国人の方がずっと詳しく知っている、詳しくシュミレーションをしている。

日本の中央防災会議の「南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループ」の長である、河田恵昭氏が敢えて政府の意向で最悪のシュミレーションに浜岡原発・伊方原発の事故を入れなかったが、アメリカやEUではとっくに21世紀の世界最大の関心事として、南海トラフ地震のエフェクトの研究に余念がない。知らないのは、我らが日本人だけなのである。

 

つまり、世界が固唾を飲んで見守っているこの大問題に、日本人として初めて大きなアクションを始仕掛けたのが、細川—小泉のコンビなのだ。

恐らく、選挙の中盤を過ぎる頃から、世界中のマスコミの関心が集まることだろう。

それはそうだ。21世紀のポンペイは、黙って座して死を待つ事を止めようと動き始めたのだから。

最近、何人かの新聞記者と話しをしていて、「東京は21世紀のポンペイになる」という、ごく当たり前の事が分かっていないのだ、ということが分かっていたく狼狽をしている自分が居る。

 

ところで、東京は21世紀のポンペイになるという事実は、実は海渡雄一弁護士もよく分かっている一人だ。しかし、宇都宮氏の選対本部は、敢えてこれを一番目に持ってこなかった。

それに対して、細川—小泉はこれだけで闘おうとしている。

 

軍配はどうだろうか。

 

わたしはこの選挙が、安倍政権にブレーキをかけるのみならず、もし細川—小泉が勝てば日本という国は大きなパラダイムシフトが起こるだろうと踏んでいる。

政策は、何から何まで宇都宮氏に利がある。

宇都宮氏に任せれば、おそらく東京は「卒の無い」暮らし易い、いい都市になるかもしれない。

 

しかし、今の日本には、細川—小泉の突破力がもたらす、そう言ってよければ、「希望」が必要なのではいか。自分の一票が日本を変えるさざ波を起こして、やがて大きな潮流になってゆく可能性がある・・・新しい産業が興り、人々は目覚め、世界の中枢の国として震災から復興してゆくという、大きな「希望」を持てるようになるのではないだろうか。

「私たち日本人は、311で原発敗戦国になってしまった」

昨年、ともにウクライナを旅した同い年の友人の弁護士がそう言った。上手い喩えだ。

311で東京は揺れに揺れた。物理的にも精神的にも、本当に揺れた311だった。

気がつけば私たち東京の人間は、福島県の人々にたいへんな迷惑を掛けてしまっていたことを改めて思い知った。

そうして裏に蠢く、原子力ムラという名の大きな汚い利権のピラミッドにも気がついた。

けれども、自分の力ではどうすることもできなかった。

「日本に54基もの原発があるなんて、知らなかった。第一、原発とはこんなに危険なものだったのか。原発は無い方が良いに決まっている。けれども、どうやって止めるのだろう。反対署名にはサインをした。デモをやっているのも知っている。しかし、選挙の争点にすらならないではないか。何か解決策はあるのだろうか・・・」

大方の人々は、何となくそう思ってきたのではないか。

311は東京の人間に、自分の無知と途方もない無力感をもたらした。自分が生きている間には、この汚染は到底止まらないだろう。行く先が本当に暗くて不安だらけだ。いったいどうすれば良いのだろうか。殆ど諦めていた私たちがいた。

そこに救世主のように現れたのが、細川—小泉だった。

しかも、原子力に代わる代替エネルギーを引っさげて登場したのだ。オペラや歌舞伎三昧の元総理と世界的な陶芸家となった元総理。二人の総理経験者だったのである。

こう言ってよければ、「権力の強みを知り尽くした二人」なのだ。

この二人が正論を言えば、本当にシングルイシューで東京都知事選挙を境に、この国の戦後はパラダイムシフトが起こるのではないだろうか・・・知らず知らずのうちに、嫌が応にも夢は膨らんでゆく。

安倍政権やそれに群がった人々は、311後の復興の明かりを五輪に観ていたのかも知れない。公共事業や異次元の金融緩和で潤った人々だ。

しかし、たった今、この苦しみを転換できるのは、諸悪の根源である原発から即刻脱却することではないだろうか。少なくとも、私たちは311以来、初めての大きなチャンスを手に入れようとしているのだ。

ここ数ヶ月間、小泉純一郎はわたしの心に住みついて、わたしをずっと揺さぶり続けてきた。その軌跡はこの日記でも辿る事ができるほどだ。

首相時代は全く彼の政策には反対してきた自分が居た。にもかかわらず、この数ヶ月間、彼に心を鷲掴みにされてきたのが正直なところだ。

だからわたしは誰よりも、その理由を深く考え自分を納得させたかった。そうして出た答えを、今こうして綴っている。

そうだ。もしかしたらこの二人は、原発敗戦国であるこの国に、明るい未来をもたらせてくれるかもしれないではないか、と。私たちが本当に欲しているものは、小さいながらも安定した暮らしなのではなく、もしかしたら届かないかもしれないが、遠くに燦然と輝く「希望」なのではないか、と。

もしも日本が世界の原発マフィアから解き放たれて、原発列車から飛び降りるのであれば、運転手は小泉・車掌は細川でなくては決して成功はしないだろう。宇都宮運転手と海渡車掌ではまずは無理だろう。宇都宮号に乗れば安定した暮らし待っているかもしれない。しかし、小泉号には「希望」があるのだ!

と、いう訳で、わたしは大きく間違っているのかもしれないが、今回の都知事選は細川—小泉に夢をかけてみたいと思う。

 


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