チャンプの心意気

2011年8月19日 金曜日

タオルでできた「まけないぞう」に賛同して下さる方はとてもたくさんいらっしゃいます。
しかし、どうしても薦められない場合もありました。

  
漆谷康宏さんウルシ君はわたしの古くからの患者さんです。修斗バンタム級世界王者です。
ウルシ君がリングにあがると、女性ファンからも男性ファンからも一斉に黄色い歓声が飛びます。
わたしはウルシ君に出会うまで、一切格闘技には興味がなかったのですが、普段はとても穏やかでジェントルな彼の人柄を知るうちに、試合を見に行って格闘技の世界をかいま見るうちに、なんて面白い世界なんだろうと思うようになりました。

  
試合の前の厳しい減量や練習の日々をよく知る者として、何とか少しでもウルシ君をサポートしたいと思っています。
ですから普段から、彼とはいろいろな話をしたりもするのですが、なにせこの夏は彼の修斗バンタム級チャンピオン初防衛戦が控えていました。
去年春に、念願の修斗バンタム級王者になりましたが、今年の冬には少し故障があったもしました。
そんなウルシ君に、実は、何度も何度もまけないぞうを紹介しようと、のど元まで言葉が出そうになったのですが、やはり防衛戦が終わるまでどうしても紹介できなかったのでした。

  
格闘技をご存知ない方にちょっとご説明致しますと……。
タオルというのは、試合中にリング外にいるセコンドがリングにタオルを投げ入れるイコール、テクニカルノックアウトという「負け」を意味します。しかもそのものズバリの「負け」という字まで入っています。
「やっぱり彼には試合が終わってから紹介しよう」わたしはそう心に誓いました。
元々ウルシ君は試合直前になっても、焦ったりピリピリしたりは全くしない選手なのですが、それでもあまり気を遣わせたくなかったのでした。

  
8月初旬、チャンピオンの初防衛戦が終わって、初めてクリニックに寄ってくれた時、やっとまけないぞうを紹介して、一つプレゼントをしました。するとすごく喜んでくれまして、彼は自分のブログにも書いてくれ、なおかつ神戸に新たに注文も入れてくれました。

  
「なーんだ、そんなこと気にしませんよ。次回はリングにまけないぞうを持って上がります!」

 
どうもありがとう、チャンプ!


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