「御鎮座記念祭」

2011年8月14日 日曜日

八月十二日は、大崎八幡宮で毎年執り行われる「御鎮座記念祭」。翌十三日は、いよいよ待ちに待った災害復興支援イベント『雅楽の夕に、』です。

大崎八幡宮は、伊達政宗公が約400年前に造営した仙台市青葉区にある国宝の神社です。
大都会の中の神社さんなのですが、さすがに杜の都です。こんもりとした丘の上に樹齢何百年の樹々に囲まれ、八幡宮の境内は下界よりも気温が2~3度低く、降りしきるような蝉時雨の中、心地の良い風が吹きぬけていました。

さらには、どこからともなく微かに聴こえてくる「越天楽」。それを蝉時雨がかき消すように降りしきる……鬱蒼とした木立を抜けてくる涼やかな風を身体いっぱいに受けて、わたしの思考回路と身体がゆっくりと変化してゆくのがはっきりと感じられたのでした。
そういって差し支えなければ、都会のピリピリした寝不足仕様から、悠久の時の杜仕様にギアチェンジしていったのでした。ほんとうに贅沢で不思議な杜の時空でした。

やがて日が落ちて、御社殿の前庭に篝火が炊かれました。とても荘厳な雰囲気の中、芝祐靖先生、宮田まゆみさん、伶楽舎の方々が古来の装束に身を包んで登場。いよいよ「御鎮座記念祭」の始まりです。
「御鎮座記念祭」とは御鎮座390年を記念して、平成8年8月から毎年執り行われている祭事で、雅楽と舞が奉納されています。
中でも宮田さんが振り付けられた「青葉の舞」は、伊達政宗公が詠んだ歌で覚えやすい節がついていました。「入りそめて 国ゆたかなる みぎりとや 千代とかぎらじ せんだいのまつ」—–悠久の時を超えて、奏でられる雅楽の音色と舞が、篝火の光の中で溶合って、厳かで幻想的な時間が過ぎていきました。

雅楽は1300年ほど前から伝えられている音楽です。笙・龍笛・筆篥・琵琶・和琴・太鼓などから成る音は、現代音楽のリズムとメロディーに慣れているわたしには、例えば笙の微かな音でさえ、それだけで非日常的な気分になる、それでいてどこかで懐かしい、不思議な力がある音だったりします。
以前に、東京のホールで何度か演奏を聴かせて頂きましたが、杜と篝火の中で聴く笙はひとしお心の襞の中にしみ入ってくるような、そんな不思議な時間が大崎八幡宮の杜には流れていたのでした。
美しい舞も滞りなく進行し、篝火の勢いが下火となるころ、『御鎮座記念祭』は滞りなく終わりを迎えました。

その後、直会という神事の後の打ち上げの会にもmakenaizoneのメンバーともども呼んでいただいき、宮司さんをはじめとして、芝先生、伶楽舎の方々と歓談させて頂き、仙台の夜は更けていきました。


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